名古屋Ruby会議04 登壇と、資料準備の舞台裏

2019-06-09 イベント

2019/06/08に開催された名古屋Ruby会議04で、関数型プログラミングの話をしてきました。なんでやねん、という感じですが。

大須演芸場での開催ということで、高座に登っての発表です。すごく珍しい経験でした。

立派なめくりも作っていただきました。

亭号は「片月亭」になっています。

IMG_20190608_132408.jpg (1.1 MB, orientation fixed)

こういった雰囲気に合わせ、発表資料も落語風の「マクラ→本題→サゲ」という構成にしました。

語りで補った部分が多いのですが、スライドだけでも流れは概ね伝わるかなぁと思います。

この発表について、懇親会でいろんな方からお褒めいただき大変嬉しかったです。

それと同時に、「マクラからサゲの構成をどうやって思いついたのか」という質問を何度かいただきました。

その場ではあまり細かい話をできませんでしたが、せっかくなので今回の発表をどう作っていったのか記録しておこうと思います。

🗣 語りの内容

先に、当日どのような語りを行ったかを書き起こしておきます。

発表メモなどを作っていないため、思い出して書き起こしています。そのため細部に齟齬があるかもしれません。

マクラ

自己紹介スライドの後から、本日のお題の見出しスライドまでが、マクラとして用意した小咄用のスライドです。

いやーそれにしても、こんな立派な演芸場でお話できるとは、ありがたいことでございますね。 (舞台上手を示し)そちらに立派なめくりも用意していただきましてですね。なんとか亭…… と書いてございますが、こちらは「亭号」と申しますね。

「こいつはなんて読むんだい」という話なんですが、「片月(へんげつ)」という言葉がございます。 これは弦月……つまりは半月を指す言葉でございますね。もう2日もいたしますと、晴れていれば綺麗な上弦の月が見られるんではないかと思います。

「そんじゃこいつは『片月亭(へんげつてい)』と読むのかい?」となるんですが、実はもうひとつ、「片月見(かたつきみ)」という言葉がございます。 八月の十五夜が「中秋の名月」というのは皆様ご存知かと思いますが、その翌月、九月の十三夜も「豆名月」という名月になっております。 こちらを両方見るのが風流とされたんでございますが、これを片方だけ見ることを「片月見」と申したわけなんですね。

そちらから音を取りまして、『片月亭(かたつきてい)』……と申したいところなんでございますが、どうにも言いづらいですし、なんだか「吸血鬼」やら「直死の魔眼」やらを連想してしまうような言葉でございますね。 そこで「き」をちょいとなまらせて「け」にしまして、かたつけてい、かたつけてえ……型付けてぇ! と、相成るわけでございます。 改めまして「片月亭 黒曜(かたつけてい こくよう)」でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

(ここで羽織を脱ぎながら、以下を本題へのつなぎにする)

とは申しましても、この後@mametterさんのほうから素晴らしい型付けの話をしていただけると思いますのでね。 わたくしといたしましては、ちょいととっ散らかった「片付かない」話なんぞを披露させていただければと思います。

オチ

オチは最後の1枚(+前スライド「わかったこと2」の最後の1行)だけですね。

そしてこれが重要なんですが、curryやら関数合成やらを繰り返していると、今扱っている値が何を受け取って何を返すんだかわからなくなってくるんですね。

そんなわけで、関数型プログラミングをするなら「型付けてぇ」……と、相成るわけでございます。

いやはや、お後がよろしいようで。

📆 発表までの流れ

上記の流れをどうやって作っていったか、というのを発表の応募から振り返ってみます。

4月22日 CFPに応募

この時点では、RubyKaigiで聞いてきたパターンマッチや関数合成を使ってなんか面白い話をできないかなー、くらいの気持ちでタイトルを決めていました。

-ish が付いたのは、会社の #random チャンネルでの会話によるものですね。

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もちろん関数型界隈から刺される、というのは半分以上冗談ですが。とはいえ、この時点では「なんちゃって関数型プログラミング」くらいの方向性にする可能性もあったので、ちょっとぼかしたタイトルにしておこうという意図がありました。

発表の中で「Rubyに『関数』はないが『関数っぽいもの』があって、それを使うので『関数型-ish』です」とか言いましたが、こういった次第なので、実は完全に後付けです。

5月13日 亭号の決定

「めくりに書く内容を決めて欲しい」という連絡が来たので、自分の分報チャンネルで考え始めたら大喜利が始まりました。

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見てのとおり発表内容と関連させようというつもりは一切ないのですが、「かたつけてえ→型付けてぇ」の流れや「型付けと片付けの洒落」なんかはこのタイミングで思いついています。

6月6日まで 何を書くか考える

そのあと「資料作らなきゃなぁ」と思いながら気づいたら6月6日になってました。(名古屋Ruby会議の前々日)

こんな感じの流れかなぁ、というのはesaに書いていたんですが、スライドはまだ0枚でサンプルプログラムも書いていないという状況……

ちなみにesaに作っていた草稿は https://esa-pages.io/p/sharing/11821/posts/130/d12f354add03c9cdf2de.html から見られます。この時点で、まだ本編のことしか書いてないですね。

そんな状況で告知ブログを出したところ、@Dominion525からこんなリプが付きました。

なるほど(なるほど)

6月6日夜~明朝 スライドを作る

さすがにやばいと思って、スライドを徹夜覚悟で作り始めます。

自己紹介の後にマクラを挟んでおくかーと思い、亭号の話をマクラにしようと思い付いて挟み込みます。「片月」と「片月見」で読み方が違うということに気づいたのもこのときですね。

がーっと作って午前5時ごろ、まとめスライドを作っているときに「型が欲しいって話をそのままオチに使えるのでは?」と思いついて入れます。

そういった感じで、あの発表の大筋ができあがりました。

まとめ

こうして振り返ると、亭号を決めるタイミングでまくらにする気がなかったとはいえ色々こねくり回したのがうまく繋がったのかなー、という気がしますね。

次回に向けての課題は、

  • もっと早く準備する
  • 小拍子を鳴らすタイミングを事前に考えておく
  • 足がしびれないように気をつける

あたりですかね…… 1つめは毎回言ってる気がする……

とはいえ、楽しく発表することができたので「終わりよければ全て良し」ということにいたしましょう。