スモールチームの情報共有にIncが便利そうな話
自分含めて3人のチームで趣味プロをしていこうと画策しているんですが、その時に課題になったのが情報共有ツール。
リアルタイムの情報共有はチャットツールのSlackで良いんですが、開発環境の構築方法とか、使ってるツールの一覧とか、そういった「後から見返したい情報」を残すのにチャットツールはあまり向いていないんですよね。
またSlackは無料だと10,000messageまでしかログを保存してくれないため、なおのこと情報の集積は別の場所が必要になってきます。
こういう場合Wikiがお手軽な選択肢に上がるんですが、無料だからといって広告が出るのは嫌だし、最近は色々なサービスが出ているから選択肢も多かろう、ということで色々漁っていました。
条件としては以下のような感じ。
- Markdown的なものでさっくりエントリを書いて共有できる
- インターフェイスがこなれていて使いやすい
- クローズドでメンバー以外にはエントリが見えない
- 3人で利用した時にできれば無料、無理なら可能な限り低価格で済む
以下では検討したシステムについて紹介していきます。
Atlassian Confluence
まず最初に思いついたのは、会社でも使っているAtlassian Confluence。
Atlassianといえばこの手のグループウェアの大手で、大企業が導入するお高いシステムなイメージがありますが、実はStarter Programとしてほとんどのシステムを10名程度までなら$10で使えるプランがあったりします。
こんな感じでシステムごとに人数制限などがあるものの、Atlassianのサーバーを使うなら$10/月、買い切りならなんと最初に$10を払うだけで後は自前のサーバーで動かして使うことができます。
とはいえ、Atlassianのシステムは結構重く、512MBのレンタルサーバーなどだと専有させてもパフォーマンスに不満が出るレベルのため、変にケチらず月額でAtlassianのインフラを使わせてもらったほうが色々と便利かとは思います。
悪くはないのですが、やはり無料ではないというところと、重量級すぎてスモールチームでの情報共有には機能過多な感じがあり、今回は見送りました。
無論、価格としては激安なので、スタートアップのベンチャー企業なんかでは他のJIRAやBambooなんかと合わせて導入する価値は十分あると思います。
Qiita:Team
イマドキな情報共有といえばQiita:Teamが思いつく人も多いのではないでしょうか。
Qiitaといえばプログラマ向けのオープンな情報共有サービス大手であり、記事をサクっと書けることには定評があります。
個人的には技術記事は自分のブログに書いてしまうためQiitaに書き込む機会はあまりないんですが、困ったときにググるとQiitaの記事が出てくることがあったり、去年のアドベントカレンダー記事を書いた際のアドベントカレンダーがQiitaのものだったりと、微妙にお世話になっている感じはあります。
最近の流行りな気はするし使ってみたかったんですが、価格が意外に高くて断念。
3人で1,490円/月。
さらに、ここから1人増えて4人になったりすると、一気に4800円まで上がってしまいます。
1人500円と考えればそこまで高くないのかもしれませんが、さすがに趣味で出す額としてはちょっとためらいます。
esa.io
個人的に注目しているesa.io。
先日の記事で紹介したpplogのデザイナーの@ken_c_loさんがこちらにも参加されています。
というかpplog.netの作り方というスライド経由でesa.ioの方を知ったんですが。
Markdownでサクっと記事を書けるという方向性ですが、WIPのまま共有できるというのはちょっと面白いです。
あと鳥がかわいいです。
こちらもさっくり記事が書けそうだし使い勝手もよさそうだったのですが、3人で使うにはQiita:Teamと同程度の額になってしまいました。
1人500円/月という超シンプルな料金プラン。
3人で使っている間はほぼQiita:Teamと同じで、仮に4人に増えてもQiita:Teamのように跳ね上がらないのは安心できます。
とはいえ趣味レベルの活動で有料プランはなるべく採用したくない、ということで一旦見送りです。
もしサービス運営で黒字化の目処が立つなら、個人的にはesa.ioを採用するんじゃないかと思います。
Inc
というわけで、色々見てきたものの、どれも当然のごとく月額有料のものばかりでした。
「世の中、そんなに都合のいいサービスはないか…」と諦めかけていたんですが、そんなさなかに見つけたのがIncというサービス。
ググラビリティが大変低いサービス名なんですが、urlのsendtoincの方でググると情報が出てきます。
ログインすると以下のようなインターフェイスになっています。
左側がメニューバー、中央に投稿一覧、右側がプレビューエリアです。
サービスの雰囲気としてはフロー型の情報共有ツールですが、ドキュメントがマークダウンで書け、またグループ分けと検索で過去の情報も簡単に見つけられるようになっています。
ノートの編集時は以下のような画面になります。
シンプルなマークダウンエディタで、サクっとノートを書くことができます。
箇条書きの時にカーソルの位置がおかしくなるなど、ちょっとエディタの挙動が怪しいときがありますが…
がっつり文書を書いて残すというよりは、ちょっとしたメモ書きに使う感じが良さそうです。
面白いのは、ノート以外にリンクとファイルの投稿ができること。
例えばRailsチュートリアルをリンクとして投稿すると以下のような感じになります。
URLを指定してリンクとして投稿すると、ちゃんとTwitter Cardとして情報を表示してくれます。
Chrome拡張も用意されており、ネットで調べ物をして「あ、これはチームに共有しておこう」とか「何かあった時に調べれるようにしておこう」みたいなことがあったらさっと共有できるようになっています。
個人的にはノートよりもこちらのほうが便利なんじゃないかという気がしました。
ファイルの投稿は、まぁそのまんまです。
ただファイルの共有のためにいちいち記事立てしたり別の場所を用意することなく共有できるのは結構便利なんではないでしょうか。
とはいえ容量が価格の基準に含まれているため、あまり大きなファイルをどんどんアップロードしているとあっという間に食いつぶしそうですが。
ちなみに、これらの投稿はグループに分けることができます。
デフォルトのチーム名グループの他に任意のグループを作ることができ、Activityのタイムラインにはすべての投稿が、グループごとのタイムラインにはそのグループごとの投稿が、それぞれ表示されます。
これにより、例えば「日報のタイムラインを見ればそれぞれの直近の活動がすぐに把握できる」「リリース情報のタイムラインを見れば投入内容がわかる」など、意味のある情報のまとまりをさっと把握することができます。
なおタグのように複数付けられるものではないので、グルーピングに迷うことはあるかもしれません。
さて、ここまで機能面での良さを説明してきましたが、まぁこんなものは後付けのオススメ理由に過ぎません。
一番の推し、それは…3人までなら無料で利用できるという価格体系です!
タダより安いものはありませんからね。
なお、4人を超えた場合は10人まで$19/月のプランを使うことになります。
それでもQiita:Teamやesa.ioと比べるとだいぶ安いですね。
Inc、細かい部分で不満はあるものの、シンプルに割り切ったデザインは割と好みでした。
紹介したとおり、2-3人の小規模チームであれば無料で使える便利な情報共有ツールなので、よければぜひ使ってみてください。
強いチームはオフィスを捨てる | |
ジェイソン フリード デイヴィッド ハイネマイヤー ハンソン 高橋 璃子
早川書房 2014-04-01 |